「林源太のうるし」11月15日(土)〜24日(月祝)


11月15日(土)より今年最後の玄想庵ギャラリー企画展、「林源太のうるし」展が始まりました。
林さんは大阪の豊中に工房を構え、制作されています。漆器といえば、分業制で制作工程ごとに専門の職人さんが携わり、一つの作品ができていくイメージですが、林さんは自分の思い描く形を追求するため、木地作りから上塗りまでを一貫して行なっています。江戸時代から伝わる伝統技法の変わり塗りをひとつのベースとして、多彩で堅牢な器作りを目指しておられるそうです。

さて、皆さんは漆器を英語で何というかご存知でしょうか?
正解は「japan」です。「lacquerware」という呼び方も一般的ですが、陶磁器を「china」と呼ぶように漆器を「japan」と呼びます。漆器は古くから日本の各地で作られ、愛されてきたということですね。
漆はウルシの木の幹から採取した樹液で塗料・接着剤としての役割を果たし、日本ではなんと縄文時代から漆の活用が確認されているそうです。酸、アルカリ、アルコールに強く、耐久、耐水、断熱、防腐性が非常に高いことが特徴です。塗り重ねるほど強度が増し、抗菌、殺菌作用もあるため、床や天井など建物にも使用されてきました。
漆器の塗膜は完成後1年ほどで漆の成分が固まって、より丈夫に、使うほどに色艶が増すと言われています。丹精込めて作られたものを長く使い込むことで自分にとって唯一無二の作品へと育っていく、そう考えると手に取る楽しみ、喜びもひとしおです。
「毎日の暮らしに寄り添う普段使いの器から、特別な日に大切な人たちと楽しめる器まで、使う人の心に寄り添う作品を」という気持ちを込めて作られた「林源太のうるし」作品たち。
2025年もあとひと月と少し。今回の企画展では新しい年を迎える準備としてもふさわしい素敵な作品たちを、多数ご出展いただいています。ぜひお越しいただき、お手に取ってご覧ください。


林 源太 Hayashi Genta
1969 大阪府生まれ
1992 京都市立芸術大学美術学部漆工科卒業
1994 同 大学院漆工研究科修了
京都市左京区松ヶ崎に工房を構える
1996 大阪現代クラフトギャラリーにて個展
1998 大阪府豊中市に工房を移転
2011 NHK「猫のしっぽカエルの手 ベニシアの手づくり暮らし」出演
作家ホームページ
作家Instagram→ https://www.instagram.com/genta_urushi
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