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加藤忠雄 彫金の世界 ー昭和から令和までー

2026年の玄想庵ギャラリー企画展は、彫金作家の加藤忠雄さんによる作品展からスタートいたします。

加藤さんが生まれ育ったお家は代々刀装金具師として活躍し、明治維新の廃刀令後その高い技術を生かしてかんざしや帯留等を制作していたそうです。お父様の宗巖氏も金工作家として日展等に出品し、主に動物をモチーフとした素敵な作品を生み出されています。

ご自宅に飾られていた宗巖氏の作品。ユーモラスな姿が可愛らしい。

加藤さんは幼い頃より金属をたたく金槌の音を耳にし、仕事道具がおもちゃがわりという金工が日常にある生活の中で育ちました。中学生の頃からお父様の仕事を手伝っていたため、彫金を「自分の仕事」と決めたのも自然な流れだったそうです。

若い頃から近くの山々や嵯峨野周辺を歩くことを好み、自然からインスピレーションを得た作品を数多く制作されてきた加藤さん。1960年からの3年間は、蝶やカエルなど自然界の生命体を表現した作品を発表し活躍されていた彫金家の大須賀氏に弟子入りし、研鑽に励みました。その後独立し数々の賞を受賞、京展や日展に出品し功績を残し、80代半ばを過ぎた今もなお意欲的に制作に取り組まれています。

彫金とは「鏨(たがね)」という鋼製の鑿(のみ)で金属の表面を彫ったり透かしたりして加飾する技法です。表現に合わせて多種多様な道具を使いこなさなければならず、高い技術を要します。現在制作を行なっているお部屋にも使い込まれたたくさんの道具たちがずらりと並んでいました。

道具ごとに整頓されています
「こんな感じで作っているんだよ」と叩くフリをしてくれました。制作台の黒い部分は松脂です。バーナーで炙って少し柔らかくなったところに金属を設置し、形を打ち出していきます。

いつも明るく朗らかで気さくな加藤さん。作品の優しく繊細な表現からもお人柄が感じられます。

周囲からはまだまだこれからも加藤さんの作品を望む声が多々ありますが、今回の作品展で出品を最後にする、とおっしゃいます。

加藤忠雄さんによる、昭和・平成・令和の美しい彫金作品の数々。確かな技術で長年彫金界を牽引してこられたその世界を堪能できる最後の機会となるかもしれません。今回の展覧会では大きなものからアクセサリーのような小さなものまで多種多様な作品を200種以上展示しております。ぜひのご高覧をお待ちしております。

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