HARIBAN AWARD 2024 最優秀賞受賞 マヤ・ダニエルズ「GERTRUD」開催中


4月16日(水)から昨年HARIBAN AWARD最優秀賞を受賞したマヤ・ダニエルズさんの作品展が開催されています。(開催期間:2025年4月16日(水)〜4月24日(木)13:00〜18:00)
HARIBAN AWARDは2014年以降、便利堂さんが開催している国際コロタイプコンペティションで、現代を生きる作家さんたちにコロタイプ印刷を用いた新たな表現の可能性を知ってもらいたいという思いから開催されています。
マヤさんの作品は町家の雰囲気になじみ、落ち着いた空間を生み出しています。
奥の小さな茶室で風を感じながら作品集をめくる時間は、ゆったりと流れていくように感じられます。


コロタイプとは19世紀半ばにフランスで発明された写真印画技法の一つです。オリジナルに忠実で精緻な濃淡表現を得意としますが高い技術力が必要ということもあり、世界でも希少となっています。

特に便利堂さんのコロタイプは顔料を豊富に含んだ油性インクを用いてアーカイバル性を高め、インクの厚みと豊かな諧調で世界中のアーティストから注目されています。
またモノクロだけでなく何色も重ねることで生み出される美しいカラーのコロタイプ印刷は世界でも便利堂さんだけの技術となっており、その微妙な色彩の変化や筆致の再現性の高さを生かし、文化財の複製品制作にも取り組んでおられます。正倉院文書や伊藤若冲の動植綵絵、尾形光琳の風神雷神図などの複製制作が有名です。
原本は状態を保つため、なかなか直接見る機会すら得られないものですが、コロタイプの複製により原本に近いものを間近に手に取り、じっくりと見ることができます。人の感性を刺激し、豊かな経験を得る機会が増えることは嬉しいことですね。
昨年は近年クールジャパンと言われ世界的に注目を集めている漫画のカラー原稿を、後世に残すべき日本の文化財として複製するという事業で、誰もが知っている国民的アニメ「ONE PIECE」のコロタイプ印刷にも取り組まれたそうです。
複製は実物の印象を損なわないようにと、紙の質や画像ではなく直接作品を見たときの色にこだわり、調整を重ねて制作されます。その日のお天気にも左右されるそうで、職人さんの高い技術力が詰め込まれています。

会場では、通常のカラープリントとコロタイプのプリントをルーペで拡大して見ることでその印刷の違いを実感できるコーナーも設けられています。

今回、マヤさんの個展と同時に2025年4月18日(金)~20日(日)13:00~18:00には「Dive into the Photobooks & Prints」と題し、スリーブックスさんとリブロアルテさん、便利堂さんの3社合同の写真集とプリントの展示販売も行われます。
コロタイプの美しい印刷と町家が生み出す空間を楽しみに、ぜひお越しください。
便利堂HP https://www.benrido.co.jp