Otonami講座12月−日本の暦に寄り添う12ヶ月の床飾り体験とお茶の時間−
12月16日、Otonamiさんを通じて行なっている体験プログラムでお正月をテーマとした床飾りの制作を行いました。
参加した皆さんに作っていただいたのは「飾り炭」と「掛蓬莱」
「飾り炭」は菊炭3つを俵に見立てて積み、紙や麻布で巻いて松や稲藁、赤い実のついたセンリョウや水引で飾って作りました。
炭は、「住み」と通じて、「安住」を意味し、炭の黒色は、邪気を払う魔除けとされています。中国の陰陽五行説では1、3、5、7、9の奇数を陽数と呼び、縁起の良い数としていますので、数字の上でもおめでたい飾りです。
菊炭はクヌギや楢などの広葉樹を炭にしたもので、中心から外側に向かって放射線状に入った割れ目が菊のように見えることからこの名で呼ばれます。備長炭よりも空気中の匂いを取る吸着効果が高く、消臭、除湿、電磁波吸収、リラックス効果など、さまざまな効果があると言われています。飾っておくと縁起物というだけでない効果も期待できそうですね。
炭を彩る稲わらは貴重な食べ物であるお米を生み出してくれるため、生命力の象徴であり、五穀豊穣の証です。またお米は神様への供物なので、豊かなみのりを神様に感謝し、五穀豊穣の願いを込めてつくるしめ縄の材料として使われます。日々生きるために食べ物をいただくことについて、感謝の気持ちを持つことは、人ととして大切なことのように思えます。
「掛蓬莱」は仙人が住むと言われる蓬莱山に登る龍に見立てた、平安時代から続く伝統的なお正月飾りです。ヒカゲノカズラという長いシダ植物を束ねて作ります。
ヒカゲノカズラは神代からある植物のようです。有名な「天照大神の岩戸隠れ」のお話で、岩戸に隠れた天照大神を誘い出すために天鈿女命が岩戸の前で、ヒカゲノカズラをまとって踊った、と言われています。
天皇陛下が行う「大嘗宮の儀」でも、衛門の冠にはヒカゲノカズラが飾られ、天皇が通る雨儀御廊下の天井にもヒカゲノカズラが吊り下げられているそうです。
地面を這うように広がる植物で、茎を切った後も鮮やかな緑色を保つので、飾っているとだんだんと水分が抜けてしまいますが、ドライフラワーのように楽しむこともできます。
稲わらと紙垂も一緒にして水引で結んで、仕上げました。
どちらの飾りも皆さん熱中して作られていて、持ち帰って飾るのが楽しみだとおっしゃっていただきました。
床飾り作り後のお茶の時間、茶室の床の間のしつらえも講師の仲村先生によって準備された飾り炭が置かれていました。
三方の上に紙を敷き、お米を敷き詰めた上に飾り炭を据え、四隅にごまめ、かちぐり、昆布、梅を置いています。どれも縁起物なので、一層お正月のめでたさが感じられます。
飾り炭だけでも飾りとして成立しますが、おめでたいものと組み合わせて、お正月を自分なりに表現してみるのも楽しみかもしれませんね。
1月のOtonami講座では、2月の節分をテーマとした床飾りを制作する予定です。
煩悩や欲望を強く抱く人の心に棲みつき、病気や災いをもたらすとされている鬼をはらう飾りを準備して、春を迎えませんか?
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